この本を一度も笑わずに読み終えた方には50万円を・・・ガクッ・・・
クマコー的な観点からすると、今まで読んだ中でいちばん笑える小説です。
「これまでわたしに話しかけてくれる人は少なかった。あなたはその中の一人で、わたしは一方的に話しかけられている気がしない。あなたがお母さんのことを話す時に、わたしはそれがわたしだけに向けられた比喩だとわかるし、あなたのおじいさんの臭いはわたしの胃からも立ち昇ってくる。そもそもあなたをしゃべらせているのが、救いのない気持ちにプレスされて紙くずで出来た立方体のようにスカスカになっているわたしだと、少なくともそんな思いでちりぢりに爆発しそうなリスナーすべてだと、わたしはあなたの耳鳴りのような声から気づかされている。」
想ー像ーラジオー。
「
「死者と共にこの国を作り直して行くしかないのに、まるで何もなかったように事態にフタをしていく僕らはなんなんだ。この国はどうなっちゃったんだ」
「そうだね」
「木村宙太が言ってた東京大空襲の時も、ガメさんが話していた広島への原爆投下の時も、長崎の時も、他の数多くの災害の折も、僕らは死者と手を携えて前に進んできたんじゃないだろうか?しかし、いつからかこの国は死者を抱きしめていることが出来なくなった。それはなぜか?」
「なぜか?」
「声を聴かなくなったんだと思う」
「・・・」
「亡くなった人はこの世にいない。すぐに忘れて自分の人生を生きるべきだ。まったくそうだ。いつまでもとらわれていたら生き残った人の時間も奪われてしまう。でも、本当にそれだけが正しい道だろうか。亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで、同時に少しずつ前に歩くんじゃないのか。死者と共に」
「たとえその声が聴こえなくても?」
」