生まれた時からアルデンテ – 平野紗季子

すべての幸福は食から始まると信じ、常に食の偉人の本と共にある。粗食の日には「またしょうもないものを食ってしまった」と涙する。知らない街を歩いて、先々出会ったものを食べ続けようとする。ようは食中毒である。

食に関するエッセイです
フレッシュな感覚にあふれていておいしい。

最近じゃ、食べものを食べる前からその食べ物に異常に詳しいということが当たり前で、情報を受け取った時から食べ始めちゃってるようなもので、実際にその食事と対峙する時には答え合わせの追体験でしかないなんて、そんな不感症グルメが溢れている気がする。既視感にまみれていては心が老ける老ける。

食べものって残らないじゃないですか。だから凄い執着しちゃう。もうここに無い、ここに無いもの、って思うと、じゃあそれ残せるの自分の心しか無くない?って、切実に向き合いたくなる。

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