「私は私の内側のどこかにある、それもはじっこじゃなくて中心にある、暗い森の中で、私の中にあるたくさんの私を吸い込んでバラバラにして私の中に取り込んで、どんどん大きくなっていく。そうだ。私は怪物だ。」
まずいちばん特徴的なのは女子高生の口語体なのですが、まぁそれは特に珍しいことでもなくて、第3部で変調してるところがちょっと気になった。文体変わってるのはいいとして、だって、いきなりガクーンって説明っぽくなってるんだもん。
まぁでも面白かった。
「もし、あたしたちの写真がなくて、あたしたちのことを考えてくれる人もいなかったら、あたしたちがいたことを誰も覚えてなくて、あたしたちはいないことになるかも。
ああ! あしたね、世界が終わるの」
グレーテストヒッツである。CDでいうとベスト盤か。でも著者が違うのでカバーアルバムって感じかな。
いろんな話がつまってて、それぞれは断片的で、でもなにか続いてゆくようで。
でもやっぱり断片的で、その断片と断片のすき間がとても深い暗闇のようで呑み込まれてゆくようで、でも確かに続いてゆくようで。
それは生のようで、自分という得体の知れないもののようで。
そして、続いてゆくことが不可能であることを背負った断片が終わってゆくそれ自体も続いてゆくようで。
「ぼくはすでに、この『手帳』を何度も書き直している。いや、『手帳』に何度も書き直されている。正直にいおう。その度に、ぼくは腹を立て、もうなにも書くものかとか、『手帳』を出し抜いてやるぞとか、思ったのだ。だが、なにも書かなければ、ぼくでもあるきみは、今日、ひどく不利なところからスタートしなければならない。それだけは避けなければならない。ここまで、たくさんの『ガドルフ』たちがやって来たことを無にすることなく、できうるかぎりのことをしなければならないのだ。」