Archive for the ‘書籍’ Category

KKKベストセラー / 中原昌也

日曜日, 12月 24th, 2006

KKKベストセラー逸脱しまくりです。
前半は「お話」めいた展開なのですが、途中から"作者"が暴走しだして怒りをぶちまけ強引に終わる。
"作者"というのも小説の一つのキャラクターですね。

「もっと自分の考えに懐疑的になるべきである。もっともっと直接的でない表現に向かうべきである。そして重要なのは匿名性だ。もう自分の名前なんて掲げるのは止めにしたい。名前などというものを大層に掲げたりするから、「自分こそが人の前に立って、何か発言する権利を持っているのだ」という錯覚に陥るのだ。」

「近代に於ける誠実な文章は「完全なる自己否定」でしかなし得ない、と僕は信じている。書き手が自己否定していない文章など、まったく読むに価しない。」

クワイエットルームにようこそ / 松尾スズキ

木曜日, 12月 21st, 2006

クワイエットルームにようこそ気がついたら精神病院の隔離病棟であるクワイエットルームに閉じ込められていた"わたし"はどうなってしまうのか?

突然"わたし"に訪れた異常体験が読者の読書体験と重なり感情移入しやすいです。登場するキャラも個性的で非常に味があります。読みやすくて面白い本です。

(読んでたら卯月妙子を思い出した・・・)

「わたしはとにかく赤の他人の目の前で、シラフで裸で仁王立ちで、普通に地味な雑誌のライターだっていうのに、いわゆる「見世物」としておっぱいやら陰毛やら丸出しで、なのになぜだか恥ずかしくもなく、ましてやハイになってるわけでもなく、その昭和の匂いほの香る映画館の2間ばかりのステージ上で、ひたすら冷えて孤独で別に悲しかあないけど馬鹿みたいだった。」

名もなき孤児たちの墓 / 中原昌也

火曜日, 12月 12th, 2006

名もなき孤児たちの墓この本、何も知らない女性がチョロッと読んだら怒り狂うのではないかという文章が盛り込まれておりますが、ま、そんなことはどうでもいいんですが。

小説なんか何書いてもいいんだし、というか可能な限り出鱈目に書いてみても限界はあるのであって、でもそこまで書いてみないと今の限界は分からないのであって・・・

「間違ったことは実践してみなければ本当に間違っているかどうかなんてわかってたまるものか。」
「問題はこのような中身のない作業に耐えうる精神を持っているか、である。」

でも、書かれる対象だって、書かれるのをずっと待っているのかもしれない。(でもそれは、ある意味気持ち悪いかもしれない・・・)

「しばらくは皆必死で、その場に存在していない演技を続行していたが、やがて一人が急に笑い出した。それにつられて全員が、耐えていた笑いを誘発させられたのだった。」

ららら科學の子 / 矢作俊彦

月曜日, 12月 11th, 2006

ららら科學の子30年ぶりに日本に戻ってきた主人公。
中国の記憶や30年前の記憶や現代の情景が錯綜する長編小説。
アトムが生まれたとされる21世紀の日本へ突然戻ってきた主人公が見て感じたこととは?
淡々とした情景描写に深い哀しみが漂います。女子高生が唯一の救いになってる。

「俺はただの客だ。ずっとそうなんだ」

ひまわりっ (1)~(2) / 東村アキコ

月曜日, 11月 20th, 2006

ひまわりっちょっと変わったお父さんの伝説エピソードマンガ。

カレーのかけ方が最高です。

刑務所の中 / 花輪和一

火曜日, 11月 7th, 2006

刑務所の中今から10年くらい前、銃刀法違反で刑務所に入った著者が描いたムショ漫画。
興味深い刑務所内のエピソードが満載です。

ぐっとくる題名 / ブルボン小林

日曜日, 10月 8th, 2006

ぐっとくる題名「親しみやすいよう、文章の語り口を若干ふざけ気味にしています」
というとおり、面白おかしくいろいろな題名を分析するエッセイ集。

「部屋とYシャツと私」の分析はなかなかいい。

オヤジ国憲法でいこう! / しりあがり寿+祖父江慎

木曜日, 10月 5th, 2006

スノウブラインド
オヤジとしてヤングの悩みや混乱に「若いってダメじゃん」とダメ出ししつつ、気合の入り過ぎているヤングに力の抜き方を教えてくれる本。

スノウブラインド / すぎむらしんいち

火曜日, 10月 3rd, 2006

スノウブラインドむかし出版された『ALL NUDE』に新たに2編加えた漫画短編集。正気すれすれもあれば、エロくだらないのもあり、ほのぼの系もある。

『ALL NUDE』のほうが大判でカラーもあって良かったなぁ。でも追加された「パパが地球人を辞めた日」は面白い。
やっぱ「0LDK築25歳」とか超短編「ALL NUDE」が面白いなぁ。

タンノイのエジンバラ / 長嶋有

月曜日, 10月 2nd, 2006

タンノイのエジンバラ自然体でじんわりくる短編小説集。いいですね。

ところでこの人、女の人だと思っていたら男性だということが判明。。。ん~思い込みというのは恐ろしいもんです。
でもちょっとしたユーモアとか女性主人公ものなんか読んでると少女漫画のような印象があるんだよね。

ウルトラファイト番外地 / 唐沢なをき

木曜日, 9月 21st, 2006

ウルトラファイト番外地昔テレビでやってたらしいウルトラ怪獣番組のパロディ(?)マンガ。

バカバカしさ全開でいいですねぇ。
セブンと怪獣たちが怪獣島でケンカしつつも本当は仲良し同士で戯れています。。。

元ネタのウルトラファイトDVDを見てみたくなりました。

銀河鉄道999 (1)~(12) / 松本零士

水曜日, 9月 20th, 2006

銀河鉄道999機械の体を求めて機関車999号で旅をする鉄郎とメーテルの物語。

機械人間に母親を殺された鉄郎は機械の体を手に入れることが出来るのか?
いっしょに旅する美女メーテルは何者なのか?

ハラハラドキドキ・・・というよりは淡々と進んでゆく旅には寓意があふれています。

それにしても、終着駅で鉄郎が手に入れる機械の体を見て笑ってしまい悲しくなる。。。(あ、ちょっとバラしちゃった)

安住の地 1,2 / 山本直樹

木曜日, 8月 24th, 2006

安住の地 1これは大友克洋の「夢の蒼穹」をボコボコと醗酵させて増殖させたような長編マンガですね。

安住の地 2途中で断続的に挿入されるコンビニの場景がなんだか退廃的エロで、伊丹十三の「タンポポ」を思い出しました。。。

九十九十九 / 舞城王太郎

日曜日, 8月 20th, 2006

九十九十九すごい重量感。ノベルスで598ページです。
これはもう、この小説じたいが終わりたくないと言っているようなもんですね。。。

探偵の九十九十九(ツクモジュウク)が事件に関わっていくがそこには本当と嘘が入り乱れており判別不能。書かれている事をぜんぶ理解するのは不可能ですね。それこそ失神してしまう・・・

「僕の魂は僕の頭ではなく、体に残った記憶を楽しんでいるだけなのだろうか?」

バスルーム寓話 / おかざき真里

土曜日, 8月 19th, 2006

バスルーム寓話短編漫画集。
どれも切ない話でけっこう完成度が高いです。

「夏草子」が特によかった。