「愛は祈りだ。僕は祈る。(・・・)
祈りは言葉でできている。言葉というものは全てをつくる。言葉はまさしく神で、奇跡を起こす。過去に起こり、全て終わったことについて、僕達が祈り、願い、希望を持つことも、言葉を用いるゆえに可能になる。過去について祈るとき、言葉は物語になる。」
「無駄と知りながら言うべき言葉は一つの祈りだ。」
でも、言葉とは、神とは、戦わなければいけない相手でもある。
「僕達はいつまでお互いのことを憶えていられるんだろう?
お互いの記憶、と考えて僕は思う。お互いじゃない。僕がいつまで柿緒のことを憶えていられるだろうというのが正しいのだ。お互いのことを憶えていられるのは僕だけなのだ。」