刺身を食いながらワシは気づいたんじゃ。
盛られた刺身の中に一切れ、神様のカケラが混じってたんじゃ。
「味は、どう?」
パル子はそう言うとワシの向かいに座ったんじゃ。
かなり膨れ上がったパル子の腹を見ながらワシは
「うん。おいしいよ」
と言うと、パル子は安心したように
「良かった」と言って、テーブルにうつ伏せに
腕をまくらにして眠ってしまったんじゃ。
パル子の静かな寝息を聞きながら、ワシは
刺身に混じっていた神様のカケラを端に除けたんじゃ。
そうすると、突然、パル子の腹から
神様の声が聞こえてきたんじゃ。
その声は抑揚がなく、心を持たないロボットのようだったんじゃ。
「死刑・・・」
そのあとパル子の顔がうっすらと笑ったような気がして、
ワシは持っていた箸を落としてしまって、拾うことすらできなかったんじゃ。